最近の1冊 2000年  




◆☆☆ 8/19/00 ☆☆◆

 去年あたりから、インターネットを通じて大量に本を買うようになりました。
 それまでは図書館派で、貸出期間の3週間に1回程度、10〜20冊借りてきて読むのがほとんで、書店で買うのは、特別に好きな作家の作品や文庫本、シリーズものの最新刊ぐらいだったので、蔵書はそう多くはありませんでした。 図書館で借りて読んだ本の中で、すごく気に入って、手元に置いておきたいと思う本は、いつか手に入れようと思いながら、書店で注文して取り寄せるというのが面倒で、店頭で見かけた時に買うだけだったからです。

 「インターネットなら、気軽にいろいろ検索して注文できる」と、長年、手に入れたいと思っていた本を何冊か申し込んでみたところ、品切れ、絶版の多いこと! 図書館では目にしていたので、注文すれば、いつでも買えると安心していたのが大間違いだと気づきました。

 図書館にある本も、ぼろぼろになって廃棄されたら、もう読むことができなくなるんだと、危機感を覚えて、今まで読んで好きだった本、自分で持っていたいと思う本を、次々と注文。好きな作家で検索をかけると、思いもよらなかった未読本に出会うこともあり、今では本棚に収まりきらない本がどっさり。。。
相変わらず、図書館通いは続いていますが、BOOK OFFなど、新古書店での購入も増えて、日々増殖していく本の保管に頭を悩ませています。
すっきり見えて、大量に本を収められる書棚、いいアイデアはないでしょうか?




『あこがれくじら』(おーなり由子作品集 1)
『ともだちパズル』(おーなり由子作品集 2)
おーなり由子
集英社
1998年4月
各 619円+税

 最近、ネット書店の検索で発見して一番うれしかったのは、おーなり由子さんが、漫画雑誌『りぼん』に描いておられた初期の頃の作品集が、文庫で出ていたこと。
この2冊に出会えたのは、インターネットのおかげです。

 好きな作家の作品を著者名で検索すると、大型書店に行っても見かけないような本、気づかないでいる本が、ごろごろ出てきます。ただ、手に取って見ることができないために、時には注意が必要。特に同姓同名の著者がいる場合、お気いにいりの作者の新刊だと信じて注文したのに、全くテイストの異なる本が届いて唖然、ということがあるからです。返品はできないし、期待していただけに、がっかりです。ネット書店の、登録しておいた情報に基づいて新刊情報を届けてくれるサービスは、便利でうれしいけれど、こんな失敗もあるので、ご注意を。

 横山美恵子『ヨーロッパの古き佳き建物』青娥書房 \3,000 は、どうやら『テーブルの花飾り』『ティーカップの中のブーケ』などの作者とは別人のようです。
 
『しあわせな葉っぱ −ミエナイ草の話』大和書店、『ひみつブック』大和書店、「てのひら童話」シリーズなどなど、漫画と絵本をひとつにしたような、ファンタジックで、どこかせつない作品で、多くのファンを持つおーなりさんですが、10代の頃に描いた、描き始めの頃のお話まで入っているという、この作品集にも、独特のセンスが感じられる世界が広がっています。人間はもちろん、くもの子や、かえる、雪だるまの親子など、いとおしくてたまらないキャラクターがいっぱいです。

 小さい子供ならではの感じ方、心の動きが、さりげなくちりばめられていて、ゆっくりと時間が流れていた、子どもの頃の、なつかしい想い出がそっと蘇ってくる気がします。関西弁なのも一層身近で、親しみがわく理由かも。直接自分の子ども時代に響いてくる感じです。いくつかの作品は、関西版『ちびまるこちゃん』と言えそうです。

 もうひとつのおまけは、北村薫さんの解説です(『あこがれくじら』収載)...ファンだとか。そういえば、『月の砂漠をさばさばと』は、おーなり由子さんの挿絵でしたね。




『図書館の学校』
(株)図書館流通センター

雑誌『図書館の学校』は、特定非営利活動法人図書館の学校が発行する小冊子。

毎月、全国の様々な図書館が写真入りで紹介されており、これは図書館好きの私にはとても興味深い情報です。

出久根達郎さんの連載エッセイの他、巻頭エッセイは、毎月豪華な顔ぶれ(3月号 阿刀田高、5月号 目黒考二、6月号 鶴見俊輔、7月号 荒俣宏 etc.)です。


会員になれば、無料で定期送付してくれます。雑誌の定期購読料は 6,000円/年だから、会員になるのがお得です。

       年 会 費: 2,000円/4月1日〜翌年3月31日
       口座番号:東京 00130−7−133237
       加入者名:図書館の学校


NPO(民間非営利組織)「図書館の学校」 http://www.toshokan.or.jp/
事務局 TEL:03-3943-0666 FAX:03-3943-6567
    Mail:npo@toshokan.or.jp

【活動内容】
   図書館を使った"調べる"学習賞コンクール、公共図書館セミナー
   新刊児童書展示室、読書の学校 etc.




『メリーゴーランド新聞』
子どもの本の専門店
メリーゴーランド発行
〒510-0836
三重県四日市市松本3-9-6
E-mail mgr-nc@cty-net.ne.jp

 四日市市にある、こどもの本の専門店「メリーゴーランド」発行の新聞です。
東京で行われた、サマカレに参加されたくばさんから、送ってもらって知りました。

 A4サイズのカラー紙2枚を半分に折った8頁の中に、おすすめ本の紹介やエッセイ、四コマ漫画、イベント情報と盛り沢山で、読み応えたっぷりの紙面に惹かれて、すぐに年間購読の申込みをしました。


  年 会 費:2,000円   郵便振替:00830−4−1225
  加入者名:メリーゴーランド増田喜昭
  通信欄に "メールクラブ希望" と書いて下さい。

メリーゴーランドは、店長の増田さんが書かれた『子どもの本屋全力投球!』(晶文社)を読んで以来、ずっと行きたいと思っているお店です。

同じ晶文社出版から最近出た『ヨムヨム王国』は、子ども向けに編集された、子どもの本のガイドブック。 岡田淳さん、上橋菜穂子さんのインタビューが載っていると、これもくばさんのHP(Forest98)で知って買いました。
くばさん、いつもいろんな情報をどうも有り難う。

 全国の子どもの本の専門店リストも載っています。



◆☆☆ 6/14/00 ☆☆◆

1月の更新以来、早半年が過ぎてしまいました。 m( )m
この本、すごく面白い。紹介したい!と思った本もたくさんあったのに、全然アップできなくて、唯一更新できたのが、"おすすめ伝言板" に寄せられる皆さまからの情報だけという状態でした。うーん。なんとかもっと気軽に書いていきたいものです。

 というわけで、このHPの一番大きな柱、児童文学の世界で大人気の作家、岡田淳さんの新刊案内から再開したいと思います。といっても、この本は児童書ではなくて、神戸のタウン誌に連載されていたマンガをまとめたものです。




『プロフェッサーPの研究室』
岡田 淳
17(じゅうなな)出版
2000年6月
1,400円

「現代児童文学作家対談 8」(偕成社/1992年12月発行)収載の岡田淳さん自作の年譜で、1968年(昭和43年)21歳から「月刊神戸っ子」というタウン誌へのマンガ連載が続いていることを知り、どんな作品なのかずっと気になっていました。でも、大阪市立中央図書館で見つけた「月刊神戸っ子」には、既に岡田さんのマンガはなく、私にとって幻の作品でした。
 岡田淳さんの最新刊『プロフェッサーPの研究室』は、そのタウン誌連載210作品の中からセレクトされた54作品だそうです。

 「いったい なにに つかうのじゃ!」インパクトある帯の文句は「教授と助手が繰り広げる発明と挫折の記録」を読めば、大きくうなずけるはず。(^^)
黒いシンプルな線のタッチが、味わい深いこの教授、かなり人間臭いです。助手といっしょに、興味の赴くまま、後先を考えずに発明と実験を繰り返し、困った事態に陥ってしまう、憎めないキャラクター。面白さの中に漂う、そこはかとない哀しみが、多くの人の共感を呼ぶのではないでしょうか?
 児童文学には縁のなかった人が、この本を読んでファンになり、ますます人気の幅が広がりそうな予感のする岡田さん。最後の作品にあった、単行本発売記念「プロフェッサーPを囲む会」なんていうのが企画されれば、シンデレラ・スプレーなんかなくても、大勢詰めかけるのでは?

 読者アンケートのハガキには、おもしろかったページ、おもしろくなかったページ、100点満点で何点か?などの質問が並んでいます。好評なら『ふたたびプロフェッサーPの研究室』の発売も計画されているようですので、気に入った方は、ぜひ読者ハガキで応援して下さい!

【私家版の画集】
『プロフェッサーPの研究室』以外にも、岡田さんが私家版として出された画集が何冊かあります。『星泥棒』『個人的ピラミッドへの挑戦』『マリオネット』『木』『竜をやっつけるべき騎士−迷路』『おうむ』。この内、僅かながら在庫の残っていた何作品かを、17出版に注文して分けていただきました。反響次第では、これら過去の私家版を復刻する計画もあるそうです。

【岡田淳さんの今後の予定】

 児童文学作家の同人誌「鬼ヶ島通信」第35号(鬼ヶ島通信社 末吉暁子さん他編集同人)のアンケートに、ご本人が書かれていた情報によれば、この後「日本児童文学」の次号(7-8月号)のための短編を考えてから、『こそあどの物語6』にとりかかる予定、とのことです。こそあどシリーズも待ち遠しい!



★★★ 祝 2000年 ★★★

 新年おめでとうございます!このHPを見に来て下さった皆さま、どうもありがとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いします。

昨年のこのページは、最初は意気込んでいながら、ほとんど更新できないまま過ぎてしまい反省しています。
本を読まなかった訳ではないんです。図書館で借りた本、買った本の記録リストを見ると、なんと362冊!
まだ読んでいない積読本(急激に増殖中)も含まれてはいますが、かなりの冊数を手にしたことになります。
図書館へ行けば、たいてい十数冊借りて帰り、出かければ本屋さんをチェック。インターネットで本に関する情報がどんどん入ってくるにつれ、読みたい本もますます増える一方です。

今年はせめて月1回は更新したいと願いながら...。


【2000年1月】

★ 作家、末吉暁子さん主催の同人誌のお知らせです。
 末吉さんの作品は、『地と潮の王』(ち と しお の おう)講談社が印象的。古代日本(?)を舞台にした冒険ファンタジーです。TRCで検索してみたら86件ヒット。『黒ばらさんの七つの魔法』偕成社もそうだったのか。16年もこの同人誌を発行し続けておられすパワーもすごいです。

『鬼ヶ島通信』
鬼ヶ島通信社
〒158-0084 東京都世田谷区東多摩川2-27-2
末吉暁子様方
TEL 03-3727-8998
FAX 03-3728-8379
e-mail akikosue@ma4.justnet.ne.jp

  体     裁: A5版・平均136ページ
  定     価: 1,000円(送料込み)
  年 間 購読料: 2,000円(送料込み)
  発     行: 年2回(春号5月・秋号11月)
  郵便振替口座: 00120-3-365316 鬼ヶ島通信社

  編 集 同 人 : 末吉 暁子  野上 暁  村上 勉  三木 朗  橘 すみ子
          那須田 淳  柏葉 幸子  千葉 幹夫  大野 ただお

 『鬼ヶ島通信』という同人誌は、ずいぶん昔に大阪府立国際児童文学館に並んでいるのを見たような気がしますが、去年 NIFTYの「児童文学と童話の部屋 −こどもの本棚−」の投稿文の中に、鬼ヶ島通信33号の情報があり、執筆者の中に、岡田淳さん、萩原規子さん、芝田勝茂さん、たつみや章さんなど、大好きな作家の名前が並んでいるのを見つけて以来、ずっと気になっていました。
 先日、ひこ・田中さんの児童文学書評論のところに詳しい情報が載っていることを教えてもらい、無事手にすることができました。
 15号から登場したという「桃太郎コーナー」では、読者で、童話の創作を志している新人を対象に作品募集しているとのことで、佐藤多佳子さん、魚住直子さんもお名前もありました。入選者の有志で同人誌「ももたろう」も発刊されているそうです。

☆ バックナンバー(1冊700円)の案内も同封されていました。

  ★ 1999 SPRING 第33号 1999年 6月 5日発行
    特集エッセイ・ファンタジー
      井辻朱美 上橋菜穂子 岡田淳 荻原規子 柏葉幸子 芝田勝茂
      たつみや章 富安陽子
    鬼ヶ島座談会 佐藤・神宮両先生に聞く「ファンタジーとは...」
          佐藤さとる 神宮輝夫 末吉暁子 (司会 野上 暁)
    第1回「子どもの本のおもしろさを読み直す」
      『大どろぼうホッツェンプロッツ』の世界

  ★ 1999 AUTUMN 第34号 1999年11月30日発行
    特集エッセイ・コロボックルが生まれて四十年
    鬼ヶ島座談会 コロボックル誕生の頃
           佐藤さとるほか(司会 野上 暁)
      わたしの創作を語る<講演から> 佐藤さとる
    第2回「子どもの本のおもしろさを読み直す」
      『ながくつしたのピッピ』の世界


「コロボックル」誕生40年を記念して、読者との交流会も開かれるそうです。
申込期限が平成11年12月20日だったので、もう無理なんだけど、一瞬、横浜まで行こうかと思ってしまいました。
   「コロボックル」誕生40年を記念 交流会 佐藤さとる・村上勉両氏を囲んで開催

     日    時: 平成12年1月22日 土曜日 午後3時〜5時
     場    所: 横浜近辺(未定)
     主催側参加者: 同人および本誌執筆者
     参 加 資 格: 本誌読者およびそのご家族・友人
     費    用: \7,000





★ 去年、12月はじめに申し込んだら、すぐに届けられた情報誌のお知らせです。
絵本/児童文学/ヤングアダルト関係に興味のある方におすすめです。
毎月1日発行。定期的に届けてくれるプレゼントのようでとても楽しみ。


『YA!!』
SANTA POST
〒185-0014 国分寺市東恋ヶ窪4-9-2
TEL/FAX 042-322-7120
PHS 070-6673-7609
e-mail santa-po@mxz.mesh.ne.jp

 サンタポストは、会員制・無店舗宅配書店です。
 会員には毎月、ミニコミ誌「YA!!」が送られ、送料が割安になりますが、
 「YA!!」の定期購読(年間\2,400送料込み)は会員でなくても可能です。
 サンタポストブックレット
  http://www5a.biglobe.ne.jp/~santa-po/booklet_top.html



  ★ 1999.10.1 NO.44
    この人に聞きたい No.36
      晶文社営業部  目安典子さん
    ほんとにほんとにほんがすき?
      ウルフ・スタルク『ちいさくなったパパ』小峰書店

  ★ 1999.11.1 NO.45
    赤木かん子さん漫画講座
      表現方法としての漫画  女性漫画の変遷  今、面白い漫画

  ★ 1999.12.1 NO.46
    地域を活き活きさせたい人の集まり・・エビネット
    クリスマスプレゼントは絵本     ほんとにほんとにほんがすき?
      ピーター・コリントン『トゥースフェアリー』BL出版

  ★ 1999.10.1 NO.47
    神沢利子『あの木 あの花 ゆめの種子』フレーベル館 \1,300+税
    この人に聞きたい No.37
      児童文学作家  神沢利子さん


★ サンタポストで1999年6月に企画した、赤木かん子さんの講座「新しい絵本たち」を読みやすくしたブックレットもあります。インターネットでしか買えないらしい。

赤木かん子『大人のためのヤングアダルト絵本ガイド』
A5版 75P \800(税込み)


・SFやミステリーは何故生まれたか?
・文学のニュージャンルとは何か?
・子どもの本を選ぶ方法とは?
そして・・、大人も子どもも楽しめる新しいヤングアダルト絵本の紹介を満載!



★ 以下2冊は12月末に読んだのですが、発売されて間がないので、こちらでご紹介します。


『りかさん』
梨木香歩
偕成社
1999年12月
1,200円+税

本屋さんで、『りかさん』という真っ赤な白抜きのタイトル文字(背)を見つけ、手にとってお雛様の絵を見た瞬間、もう手放せないと感じる本でした。 新潮社から発行されている『からくり からくさ』の続編にあたり、蓉子の子ども時代が描かれています。なぜ違う出版社から出たのか不思議。

 「りかちゃん人形が欲しい」と、おばあちゃんにおねだりした、ようこのもとに送られてきたのは、お友達が持っているのとは違う、市松人形のりかさんでした。説明書にあったとおり、りかさんのお世話をするようになったようこは、ある日を境にとても不思議な経験をすることになります...。

『からくり からくさ』の登場人物の過去を紐解くように、蓉子とお友達の登美子ちゃんの家の雛壇に飾られたお人形をめぐる複雑な縁が語られます。
 蓉子とりかさん、おばあちゃんとりかさんのつながりの確かさを感じることができ、『からくりからくさ』の味わいがぐんと深くなる気がしました。


  雛人形をめぐる不思議な宿縁を題材にした物語に、遠藤周作『わが想う人は』講談社 があります。ミステリーホラーで、梨木香歩さんとは雰囲気は違うのですが、『りかさん』を読んだあと読み返してみたくなり、続けて読み終えました。
 同じように人形の持つ過去の悲しい記憶、どろどろとした残酷な人間関係を描きながら、『りかさん』はとてもファンタスティックな作品です。

 




『ミュージカルスパイス』
岡田淳
理論社
1999年12月
1,500円+税

こそあどの森シリーズ最新作(5冊目)です。前作『ユメミザクラの木の下で』もとっても好きなお話でしたが、今回もそれに勝るとも劣らない素敵な作品です。
以下続刊となっており、このシリーズはまだまだ続くようです。。。


 どんな図鑑にも出ていない伝説の植物カタカズラ。雪の結晶の形の六角形の花が、やがて星の形の五角形の実になり、それはコーヒーのような匂いがする。

 不思議な植物の実から作ったスパイスをめぐって、こそあどの森の住人たちが繰り広げるとびきり楽しいエピソードが語られます。

スパイスの威力で、誰もがミュージカルを演じてしまう。いつもと違う別の自分になる楽しさ、身近な人の意外な面を発見するという、岡田さん独特の魔法がふりまかれた、とびきり愉快なお話です。

   1月15日、クレヨンハウス大阪で岡田さんの講演会があります。
 きっとこの作品の裏話も聞かせていただけるのではないかと期待でいっぱいです。





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