最近の1冊 1998年 



 【 1998年総まとめ 】

1998年を振り返って、良かった本、サイトなどについてまとめてみました。




ここでは、最近読んだ(見つけた)本の中から、特におすすめの本、シリーズをご紹介しようと思います。

"ひと味違って光っていた本"というのを基準に選んでみました。


  [1998年12月]



「おんな飛脚人」
出久根達郎
講談社
1998年2月
1,600円

 今月は、珍しく時代小説を選んでみました。とびきりテンポのいい文章と、主人公が、円(まどか)という若い女性の飛脚人ということもあって、さわやかで、すっと読める一冊です。

物売り、露店、武士と商人の暮らしぶりなど、古書店主でもある出久根さんならではの、綿密な時代考証に基づく街の描写と、軽妙な語り口に、江戸の日常生活が活き活きと感じられ、すっかり引き込まれてしまいました。

飛脚人とは、客から預かった書状を、走って届ける、昔の郵便配達人のこと。そして、「ホーイ、ホーイ」とつぶやいて、低く口笛を吹くのが、女飛脚人まどかの、走り出す時のおまじない。手拭いで頬かむりをし、風のように走る江戸の町のざわめきが楽しい。同じ日に、飛脚問屋「十六屋」で働くことになった、こちらも足の早い清太郎と、まどかのそれぞれの過去と、胸に秘めたある目的に、時にホロリとさせられ、当時の人々の暮らしぶりに感心させられる、江戸再発見の物語でした。



【出久根達郎さんの その他の作品リスト】

 粋で野暮天      リブリオ出版 読書日記
 いつのまにやら本の虫 講談社    書物エッセイ
 たとえばの楽しみ   講談社    書物エッセイ
 本のお口よごしですが 講談社    書物エッセイ
 漱石を売る      文芸春秋   書物エッセイ
 朝茶と一冊      リブリオ出版 書物エッセイ
 みんな一等      朝日新聞社  エッセイ
 花ゆらゆら      筑摩書房   エッセイ
 残りのひとくち    中央公論社  エッセイ
 四十きょろきょろ   中央公論社  エッセイ
 思い出そっくり    文芸春秋   エッセイ
 人さまの迷惑     講談社    エッセイ
 恋文の香り      文芸春秋   エッセイ
 古書法楽       中央公論社  古書
 古書彷徨       新泉社    古書
 古本綺譚       中央公論社  古書
 面一本        講談社    古書
 逢わばや見ばや    講談社    自伝的小説
 むほん物語      中央公論社  小説
 笑い絵        文芸春秋   小説
 佃島ふたり書房    講談社    小説
 猫の縁談       中央公論社  小説
 無明の蝶       講談社    小説
 踊るひと       講談社    短編
 あったとさ      文芸春秋   短編集
 あなたのお耳に    講談社    短編集
 お楽しみ       新潮社    短編集
 猫の似づら絵師    文芸春秋   江戸時代小説
 落し宿        中央公論社  レトロ調大活劇
 波のり舟の      文芸春秋   捕物帖
 えじゃないか     中央公論社  幕末小説


 古本屋さんのエッセイ、小説が好きです。どなたが書いておられたのか、覚えてはいないのですが、その昔、図書新聞に連載されていたエッセイを読んで以来のファンです。紙魚(しみ)というのが、古い書物につく虫だと知ったのもこのエッセイの題名からでした。

 小さな古本屋さんの持つ、暗くて埃っぽいけれど、何か意外な本が隠されているような、宝探しのような独特の雰囲気。私には初版本や稀覯本を集める趣味はないのですが、古書店主の目から見た、本と、本好きの人達をめぐる裏話を読むと、わくわくしてしまいます。

『佃島ふたり書房』で直木賞を受賞後も、高円寺で古書店を開いておられる出久根さんの、日常のエピソードを元にした書物エッセイや小説は、どれもみんなおすすめです。

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江戸時代の物語を気軽に読むには、他に石川英輔さんの大江戸シリーズや、宮部みゆきさんの本もおすすめです。

  大江戸神仙伝[講談社文庫]
  大江戸仙境録[講談社文庫]
  大江戸遊仙記[講談社文庫]
  大江戸仙界記[講談社文庫]
  いな吉江戸暦[講談社]

  本所深川ふしぎ草紙[新潮社]
  かまいたち  [新人物往来社]
  震える岩   [講談社]
  霊験お初捕物帖[新潮社]
  幻色江戸ごよみ[新人物往来社]


 ★ こんな本も ★   出久根さんの読書日記『粋で野暮天』を読んでいたら、
            こんな本の紹介があって、思わず買ってしまいました。

 『まぼろし小学校』昭和B級文化の記録 (日曜研究家 串間努)[小学館]

”実際の小学校生活よりも楽しい。構成も「通学路」にはじまり「教室」「給食室」「校庭」「図書室」「放課後」とう風に学校生活を再現してくれる。〜 略 〜 本書の面白い理由の一つに実はアンケートがある。47項目にわたる質問を出しているが、内容がユニークなのだ”

駄菓子、ロック筆入れ、レモン石鹸、検便などなど、昭和30年〜40年代生まれの人からの回答が多いようですが、世代が違ってもなるほどと懐かしい、思い出がつまった楽しい本でした。


 ★ こんな本も Part 2★

 『東京古書店グラフティ』 (池谷伊佐夫)[東京書籍]

 『三都古書店グラフティ』 関西編(京都、大阪、神戸)

”古書店めぐりの新たなバイブル”というのにふさわしく、名物古書店が詳細なイラストで紹介されています。店のレイアウトから本の内容と配置、稀覯本の書名と値段など。見ているだけでお店の雰囲気が伝わってきそうな古書店ガイドブックです。




  [1998年11月]


『ナルニア国物語』
シリーズ 全7冊
C.S.ルイス
岩波書店
-ハードカバー
-岩波少年文庫


「ナルニア国物語」は、現実の人間世界とは全く別の国、ナルニアにイギリスの子供達が紛れ込む物語で、偉大な王、アスランの導きによる冒険を通して、ナルニアの誕生から終わりまでが描かれる、壮大なファンタジーです。
 作者のC.S.ルイスは、キリスト教に関する著作も多く、SF三部作(未読)「沈黙の惑星を離れて」「金星への旅」「かの忌まわしき砦」と共に、この物語は、聖書の世界を重ね合わせて読むことも出来るようです。


 1. ライオンと魔女
 大きなお屋敷にやってきた4人のきょうだいが、衣装だんすを抜けて迷い込んだ不思議な国、それがナルニアでした。ナルニアを永遠の冬にしている白い魔女と戦います。

 2. カスピアン王子のつのぶえ
 ナルニアに呼び戻された子供達は、叔父に王座を奪われた若い王子を助けます。

 3. 朝びらき丸東の海へ
 この世の果ての探索に出かけた七人の領主を探しに、カスピアン王子と共に船の冒険に出かけます。

 4. 銀のいす
 行方不明になったカスピアン王子の息子を捜しに、巨人の国を目指して二人の子供が冒険の旅に出かけます。

 5. 馬と少年
 ナルニアの全盛時代、ものいう馬ブレーとその友シャスタが、カロールメンという好戦国から、広い砂漠を横切ってナルニアに急を知らせます。

 6. 魔術師のおい
 不思議な指輪をはめて、世界と世界の間の林を訪れたポリーとディゴリーは、ナルニアの創世を見届けます。

 7. さいごの戦い
 ナルニアがくずれさります。恐ろしいタシの神が現れ、カロールメン軍とナルニアが戦います。


「ナルニア国ものがたり」は、1冊1冊が完結した物語なので、どれを読んでも楽しめますが、やはり左記の執筆順に読むのが一番いいかもしれません。ナルニア国の歴史を年代順に紹介したものがそれぞれの本の最初に載っていますが、順番は次のとおりです。

【ナルニア年代表】

 1.ナルニア生まれる  「魔術師のおい」
 2.数世紀のち     「ライオンと魔女」
 3.ピーター王のころ  「馬と少年」
 4.数百年のち     「カスピアン王子のつのぶえ」
 5.カスピアン王3年   「朝びらき丸 東の海へ」
 6.カスピアン王70年ごろ「銀のいす」
 7.チリアン王のすえごろ「最後の戦い」


【関連書・研究書】

「ナルニアの国は遠くない」 柳生望/著 ; 新教出版社
 C.S.ルイスのファンタジーの世界
「ナルニア国物語」とSF三部作をルイスの「聖書の世界」との関係から論じたものです。

「ナルニア国の住人たち」 C.S.ルイス原作
  瀬田貞二/訳 ポーリン・ベインズ絵
  岩波書店 本体1748円 27cm 88p
アスラン、白い魔女、フォーン、泥あしにがえもん、海の人など、「ナルニア国ものがたり」ではおなじみの登場人物を、ポーリン・ベインズの描きおろしフルカラーの絵で紹介します。

『ナルニア国年代記』読本 増補改訂 C.S.ルイス
 山形和美/竹野一雄 編 国研選書(星雲社)
 368頁 1995 \2,500

「C・S・ルイスの秘密の国」中村妙子訳 すぐ書房


ナルニア国物語のビデオ☆ を観ました!

「ライオンと魔女」「カスピアン王子のつのぶえ」「朝びらき丸東の海へ」「銀のいす」の4冊が、実写で映像化され、全6巻セットになったものです。物語に登場するキャラクターを紹介したイラストブックと共に、海外通販の書籍カタログで見つけ、悩んだ末、ちょっと円高気味だったこともあって注文しました。

第1巻「The Lion, The Witch and the Wardrobe」は、ピーター,スーザン,エドマンド,ルーシィの4人のきょうだいが、列車でお屋敷に向かうところから始まります。(この物語は、第一次大戦中に空襲を避けてロンドンから疎開してきていた間の出来事だったのですね。)

街灯あと野、フォーンのタムナスさん、リーピチープ、そして、アスラン!!おなじみの場所や登場人物が、次々に登場し、ナルニアの世界へ導いてくれます。
「My Children!」と呼びかける Aslan(アースラン)や、Narnia(ナーニア)の不思議な住人たちの話す英語の音を通じて、本だけでは解らなかった雰囲気が味わえ、アスランの背中に乗ったり、たてがみに顔をうずめたい!といった願いも叶ったような気持ちになれました。

英語のビデオだけで理解するのは、かなり苦しかったため、本を読み返しながら観たのですが、ストーリーに関しては、ほぼ原作に忠実に映像化されていました。久しぶりにナルニアの国を訪ねたような幸せな思いを味わえ、このコーナーで紹介させていただくことにしました。


【ビデオ購入先】  Barnes & Noble  1 Pond Road, Rockleigh, NJ 07647 U.S.A
  http://www.barnesandnoble.com
 TEL:(1-800-843-2664) FAX:1-201-767-9169
ニューヨークにある大型書店です。Internetのサイトから書籍を購入することもできますが、毎月のように届くカタログ(無料)を眺めるのもまた楽しいものです。いろんなジャンルの本やビデオが毎回たくさん紹介されています。

 THE CHRONICLES OF NARNIA(6-VHS SET) $49.95+$5(overweight shippping surcharge)
 A BOOK OF NARNIANS    (88pp.)    SALE $6.98
     別途配送手数料 航空便: $5.95(注文1回につき)+ $5(商品1個につき)
             船 便: $4  (注文1回につき)+ $1(商品1個につき)

【「ナルニア国物語」関係の海外のサイト】

   The official Narnia (under construction)

   The Land Of NARNIA

   Into the Wardrobe The C.S.Lewis Web Site

  Into the Wardrobe Online Bookstore

    こちらのBooksというページにある関連書籍1冊1冊から、Amazonの書籍紹介/注文のページに
    つながり、表紙を見て原書を探すのにとっても便利です。

 ★ メーリングリストもありました。

  The C.S.Lewis Mailing List




  [1998年10月]


FESTINA LENTE
「錨といるか VOL.3」
 図書館と本を愛する人のために
赤木かん子
山口鈴江
小原寿美
編集人 小原寿美

発行 錨といるか社
1998年9月
創刊号300円
1-3号500円

 錨といるか0号(創刊号)
 錨といるか1号
 錨といるか2号
 錨といるか3号

 【定期購読】 (バックナンバーの申込みも可)
   購読料3、000円(6冊分)を郵便振替で振り込むか、
   葉書またはFAXで申し込む
     口座番号: 00130-8-115140
     加入者名: 錨といるか編集部
   〒164-0001 中野区中野2-12-5-103
   Tel・Fax: 03-5341-3457

 ご存じ”本の探偵”赤木かん子さんをはじめ、図書館と本を愛する人達が創るユニークな雑誌です。素敵な図書館や書店の実例紹介、図書館利用者が遭遇したトラブルレポート、もちろん本の紹介などなど、17〜40頁程度の同人誌に近い雰囲気の小冊子ですが、中身は濃いです。
 たとえば、「かん子式図書館学」のテーマ”棚をつくる”では、既成の図書分類法にとらわれない自由で柔軟な発想で、活きた図書館の棚作りを提案しています。”目からうろこ”状態の司書さんも多いのでは?
 サービス業として、利用者のための図書館というものがもっともっと研究されればいいなと思える1冊です。
 図書館のディスプレイのアイディア、紙芝居やおもちゃなど、役立つ備品の紹介もいっぱいで、購入できるものもあります。




  [1998年9月]


「つれづれノート@〜F」
銀色夏生
角川文庫
1991年6月〜1998年8月
480円-600円


    つれづれノート
    つれづれノートA
          毎日はシャボン玉    つれづれノートB
          遠い島々、海とサボテン つれづれノートC
          さようならバナナ酒   つれづれノートD
          バラ色の雲       つれづれノートE
          気分よく流れる     つれづれノートF


 銀色夏生さんの楽しいイラスト&写真たっぷりの日記&エッセイ集の7冊目が出ました。
最初は少しぎこちなく感じた文体ですが、驚くほど率直に語られる彼女の日常生活、考え方について読み進むにつれ、次第に引き込まれ、すっかりファンになってしまいました。

 えっまた?というくらい、しょっちゅうどこかへ旅に出て、友達と遊ぶパワフルさ。
 1日30品目の食事が理想的なんてことは気にもせず、食べたいときに食べたい物を、作って、買って、食べに行く。自由気ままに暮らしていながら、時には物事を真摯なまなざしで見つめ、感じ取り、考えている姿に好感が持てます。世間の常識にしばられず、もっと力を抜いて生きてもいいんだと元気になれ、毎日を楽しく過ごすための発想法を教えられる不思議な世界です。

 詩、写真、イラストで独自の世界を表現されている彼女の感性と魅力の秘密がここにあります。

 自分でもこんな風に日記をつけてみようかなと思ってしまいました。




  [1998年8月]


痛快 世界の冒険文学
(全24巻)

編集委員 井上ひさし,里中満智子,
     椎名誠,神宮輝夫,山中恒
講談社
1998年1月
1,500円+税

     巻 名            筆 者        原 作 者
   フランケンシュタイン      山中 恒     M・シェリー
   宝島              宗田 理     R・スティーブンソン
   アーサー王物語         阿刀田高     イギリス伝説より
   十五少年漂流記         志水辰夫     J・ベルヌ
   鉄仮面             さとうまきこ   F・D・ボアゴベイ
   失われた世界          森 詠      C・ドイル
   偉大なる王           斉藤 洋     N・A・バイコフ
   タイムマシン          眉村 卓     H・G・ウェルズ
   笛吹童子            橋本 治     北村寿夫
   ハックルベリィ・フィンの冒険  立松和平     M・トウェイン
   水滸伝             嵐山光三郎    施耐庵
   神秘島物語           佐藤さとる    J・ベルヌ
   バクカビル家の犬        大沢在昌     C・ドイル
   三銃士             藤本ひとみ    A・デュマ
   運命 二人の皇帝        田中芳樹     幸田露伴
   吸血鬼ドラキュラ        菊池秀行     B・ストーカー
   白い牙             神宮輝夫     J・ロンドン
   ソロモン王の洞窟        横田順彌     H・R・ハガード
   紅はこべ            山崎洋子     M・B・オルツィ
   モヒカン族の最後        花村萬月     J・F・クーパー
   奇巌城             逢坂 剛     M・ルブラン
   真田十勇士 猿飛佐助      後藤竜二     少年講談より
   モンテ・クリスト伯       村松友(示見)   A・デュマ
   ロビンソン・クルーソー     伊集院 静    D・デフォー


  子供向けにリライトされた冒険文学の全集です。抄訳、リライトされた本というと、本物を
  味あわずに読んだ気になってしまうから良くないと思われていますし、事実そういう懸念も
  ありますが、この豪華な筆者の顔ぶれをみたら、わざわざ読んでみたくなりませんか?
  この作品が、あの人の手でどう描かれているか、わくわくしてしまうシリーズです。
  楽しい物語世界を味わったら、原作もきっと読んでみたくなるはずです。

 



  [1998年7月]


「世界古本探しの旅」
 
発行者 岡本行正
朝日新聞社
1998年5月
3,200円+税

    パリ古本探しの旅            荻原アンナ
    ロンドン古本探しの旅          瀬戸川猛資
    フィレンツェ・ボローニャ古本探しの旅  和田忠彦
    アメリカ南部古本探しの旅        越川芳明
    ミュンヘン・ウィーン古本探しの旅    池内紀
    マドリード古本探しの旅         野谷文昭
    南仏古本探しの旅            浅野素女
    ミラノ古本探しの旅           和田忠彦
    ローマ古本探しの旅           和田忠彦


 それぞれの文学の研究者による世界各地への古本探しの旅。セーヌ川沿いの露店の古本屋さん
 から、稀覯書が展示されている博物館のような展示室まで、埃っぽいイメージはなく、本の
 好きな人なら、美しい写真を眺めているだけでも楽しい、目の保養になる1冊です。

 



  [1998年6月]


「山頂の聖人」
 
スーザン・トロット
ヒューイ陽子 訳
角川書店
1998年2月
1,500円

 毎年夏になると、山頂に住む聖人のところに様々な悩みを抱えた人が世界中から訪れる。
 人々は、どうしたら意義ある人生を送れるかを学ぶために、山頂まで続く長い行列に並ぶ。
 聖人は「会う人すべてを聖人だと思って接すれば、幸せになれます」と教えながら、毎日
 大勢の人と面会するが、心の中ではただひとりの人が現れるのをずっと待っていた...。
  聖人のユーモアとウィットに富んだ教えが、心をやさしくしてくれる、愛に満ちた34の物語。
        [本のとびらの紹介文より]
 

 子供と遊ぶのが大好きな、小柄な老人ジョー。見かけはちっとも聖人らしくない様子なのですが、彼に会った人は、いつの間にか相談しにきた悩みが解決しているのに気づきます。ひとつひとつのお話が、心を暖かくしてくれる1冊です。

 



  [1998年5月]


「木をかこう」
 
ブルーノ・ムナーリ
須賀敦子 訳
至光社国際版絵本
1997年
1,429円+税

 木をじっくりと観察したことがありますか?
 草花を育てたことがありますか?

 種が土から芽を出し、葉が茂って、枝が出る。枝を伸ばして、木がだんだん大きくなっていく課程とその規則について発見させてくれる絵本です。

 枝が2本、2本と分かれていく木、3本、4本ずつ分かれていく木、幹から遠くなるほど枝は細くなり、細くなっても枝の分かれ方は変わらない...。

   意外な成長の規則の積み重ねが木を形作っているんだと気づき、誰でも、いつのまにか、
  りっぱな木が形作れる、驚きに満ちた本です。
 




  [1998年4月]


「ダイノトピア」
−恐竜国漂流記−
 
ジェームズ・ガーニー
沢近十九一 訳
フレーベル館

 漂流して流れ着いた島は、恐竜の住む島で、言葉を理解する恐竜と人間が、仲良く暮らしていた!!

 もしも恐竜が人間の言葉を話し、人間といっしょに生活をしたらどうなるだろうか
 という発想で描かれた、ユーモアあふれる、さながら恐竜図鑑のようにイラストたっぷりの大判絵物語です。
 
 恐竜が好きで、シダの繁る太古の世界で、恐竜がどんなふうに生きていたか、とても興味があります。かなり夢物語ではありますが、ジュラシック・パークのように、人間にとって恐ろしい対象としてではなく、恐竜の暮らしぶりが知りたいと思っていた、そんな人にぴったりの1冊です。
 



  [1998年3月]


「ハギワラトシコのヒーリングクッキング」
 作る人はあなた、食べる人はあなたの友達
ハギワラトシコ
文化出版局
1997年5月
1,500円+税

        1 燃え尽き症候群の友達とティータイム、野菜で作るお菓子
         2 冷え性の友達と食べるほかほかピッツァディナー
         3 月経前症候群にはおしゃべりと飲茶を贈ろう
         4 落ち込んでいる友達にニョッキ
         5 ほてった身体とこころをしずめ、友達を眠らせる
         6 乾燥肌、乾燥髪、パサパサ友達をゼラチンでうるおす
         7 花粉症の友達とピクニックランチ
         : 
   
    食べ物で体の不調を上向きにしようというヒーリングクッキング。
   見ているだけでも楽しくて元気が出そうになってくる写真がいっぱいです。   

 


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