最近の1冊 1998年を振り返って 



 【 1998年総まとめ 】

 この1年間、いろんな人と本との出会いがありました。好きな本の話題で盛り上がることのできる人を見つけるのは、普段の生活の中では難しいけれど、インターネットを通じて多くの人と知り合うことができたのは、予想以上に大きな収穫でした。 おかげで、家でコンピューターの前に座る時間がぐんと増えて、肝心の本を読む時間があまり取れなくなってしまうという小さな心の葛藤もありましたが、刺激を受けたせいか、自分の感覚以上にたくさんの本を読んでいたようです。

 雑誌、コミック、実用書なども含めて、図書館で借りた本、買った本の記録をとっているのですが、1年間で200冊を超えました。これからも、飛び交うインターネットの情報をうまく掴んで、いい本と出会えたらなと思っています。

 ”ひと味違った”という基準で、月1冊のペースで始めたこのページですが、ここに載せなかった本も含めて、私にとって面白かった本、出会えてよかった本というのを少し振り返ってみました。


今年出会った5つ星★★★★★(出会えて幸せだった本/とても面白かった本)

   おーなり由子『しあわせな葉っぱ −ミエナイ草の話』大和書店
     ”ある朝、目がさめると、頭に芽がでていました”
     葉っぱと、女の子の共生を描く、とてもかわいいイラスト本です。
     緑、茶、紺の3色で描かれたイラストと、主人公の心のつぶやきで進んでいく、ひとつひとつの
     エピソードが、とってもせつなくて心がキュンとなる本です。
     大事にそっとしまっておきたい、とっておきの1冊です。

   おーなり由子『ひみつブック』大和書店
     ”みんなのしらない わたし あたらしい わたし ふるい わたし なまえのない わたし 〜略〜
      胸の奥の ひみつの箱に はいってる たくさんの たいせつな わたし”
     心の奥にしまってあって、ひとりでそっと取り出す、ひみつのつまった絵本です。
     他にも「天使のみつけかた」「幸福な質問」「手のひら童話」など
     たくさん作品がありますが、読んだ中では、この2冊が特にお気に入りです。


   ブルーノ・ムナーリ『木をかこう』至光社国際版絵本(5月に紹介した1冊)
     自由に枝を伸ばしていると思っていた木の枝の規則の発見。一緒に絵を描き、1本1本の木を観察
     しているうちに、自然の力の神秘と偉大さに気づく、すごい絵本でした。

   スーザン・トロット『山頂の聖人』角川書店(6月に紹介した1冊)
     春の野山を思わせる、やさしい色合いのカバーを目にした時から、なんだかうれしくなる本でした。
     人間の心の本質、信仰とは何かを教えてくれ、聖人とまわりの人とのやりとりを読むうちに、
     心がやさしくなれる大切な1冊です。

   原田康子『満月』新潮文庫,朝日新聞社
     読みたいと思って捜してもなかなか見つからず、やっと古本屋で文庫本を見つけました。
     現代を生きる一人の若い女性が、満月の夜、時を超えて現れた侍と出会い、反感を持ちながらも
     同じ家で暮らすうち、次第に心を開き、惹かれ合う、せつない恋の物語です。
     おばあちゃんの作る、お月見料理の"きぬかつぎ"など、細かい描写も魅力的で、映画よりも、
     絶対この原作がおすすめです。



今年出会った4つ星★★★★(よかった、面白かった本)

   出久根達郎『おんな飛脚人』講談社(12月に紹介した1冊)
     出久根さんの時代小説の中で、一番のお気に入りです。

   景山民夫『時のエリュシオン』幸福の科学出版
     心理カウンセラーのもとに治療を受けに来た女性が、潜在意識を呼びおこされて語る転生輪廻の記憶。
     アトランティス、古代エジプト、古代ギリシアなど、さまざまな時代の記憶が結びつけるふたりの前世。
     という、内容的にはすごく私好みで、本当は5つ星にしたいくらいなのですが、如何せん、
     特定の宗教のための出版社からの発行ということで、最後にがっくりきてしまいました。
     それでも、物語の面白さという点では十分楽しめます。

   赤木かん子他『錨といるか VOL.3 図書館と本を愛する人のために』 錨といるか社(10月に紹介した1冊)
     FAXで会員登録すれば、Eメールで商品の情報を知らせてくれるとのことでしたが、
     今のところ何も来ません。次号はいつ発行されるのか楽しみな雑誌です。

   ジェームズ・ガーニー『ダイノトピア』−恐竜国漂流記− フレーベル館(4月に紹介した1冊)
     ナルニアのビデオと同じ、Barnes & Nobleのカタログで、続編を見つけて買いました。
     子供向け絵本とはちょっと違う、大型ヴィジュアル本は、日本の小さな書店では置き場所に困るのか、
     全然見かけませんね。もっと話題になってもよさそうなものだと思うのですが...。

   銀色夏生『つれづれノート@〜F』角川文庫(9月に紹介した1冊)
     日記風エッセイですが、ずーっと読んでいると、些細なようでドラマチックな事件の連続で、
     全体が小説のような気もしてきます。あーぼう(かんちゃん)の成長をいっしょになって
     見守っているような気がし、いいかげんさが、パワーとなって元気づけてくれる本です。

   『「三角窓口」傑作選'97 別冊本の雑誌12』本の雑誌社
     本の雑誌の読者投稿欄をまとめたものです。本、書店にまつわる、面白い話がいっぱいです。



もういちど読み返した本

     大好きな本、内容はよく覚えていないけれど、昔読んで面白かった本は、時々読み返してみたくなります。
     HP更新のため、楽しみのため、久しぶりに読んでみようと思って読み返した本たちです。
     どれもみんな大好きな本ばかり。

     天沢退二郎 『光車よ、まわれ!』『魔の沼』筑摩書房
     岡田淳   『ようこそ、おまけの時間に』『ムンジャクンジュは毛虫じゃない』偕成社文庫
            『ポアンポアンのにおい』『手にえがかれた物語』偕成社
            『もうひとりのぼくもぼく』スピカ
     上種ミスズ 『天の車 明日を翔けるリウ』講談社青い鳥文庫
     芝田勝茂  『ドーム郡ものがたり』福音館土曜日文庫
     和木浩子  『銀色の仲間 上下』リブリオ出版
     佐々木丸美 『榛(はしばみ)家の伝説』講談社
     石山透   『タイム・トラベラー』(筒井康隆『時をかける少女』より)大和書房



インターネットを通じて出会った本

     エリザベス・グージ『まぼろしの白馬』岩波少年文庫

     ジョーン・ロビンソン『想い出のマーニー』岩波少年文庫

     カニグズバーグ『ドラゴンをさがせ』岩波少年文庫

     森絵都『宇宙のみなしご』講談社

     佐藤多佳子『しゃべれどもしゃべれども』新潮社

     綾辻行人『迷路館の殺人』『水車館の殺人』『時計館の殺人』講談社文庫



発見した本関係のお気に入りサイト(詳細はLinkのページへ)


     ☆ 佐々木丸美『崖の家』他、遺産シリーズの人物相関図,"崖の家"の間取り図

     ☆ 広瀬正『マイナス・ゼロ』の年表

     ☆ NHK少年ドラマシリーズ『タイム・トラベラー』関連サイト

     ☆ ジーン・アウル『大地の子エイラ』シリーズのファンの海外サイト

     ☆ 荻原規子「勾玉三部作」「西の善き魔女」のファンのサイト

     ☆ ル・グイン『ゲド戦記』のファンのサイト

     ☆ カニグズバーグ『クローディアの秘密』他のファンのサイト

     ☆ 日渡早紀『ぼくの地球を守って』のファンのサイト

     ☆ 細川智恵子『王家の紋章』のファンのサイト

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      できました。



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