音楽ノ未来・野村誠の世界 プログラム(html版)

このページは2004年8月1日に碧水ホールで開かれたコンサート「音楽ノ未来・野村誠の世界」で当日配布されたプログラムを、
碧水ホールの提供により、ティルトクンチョノのボランティアスタッフが掲出しているものです。


2004.8.2

もどる 「音楽ノ未来・野村誠の世界2004」チラシ






 そして、同時代に生きるすべての人へ。
 未来を作っていきましょう。
 こういうことを恥ずかし気もなく言っていいことは、ぼくが実証しましたから!
(「ごあいさつ」から)


ごあいさつ/中村道男・碧水ホール館長
ごあいさつ/野村誠
プログラム 曲目解説
出 演  プロフィール
野村 誠 ・音楽、その一度きりの時と場を求めて/小沼純一
野村誠 ワークショップ日記/野村誠 柏木陽
野村誠年表/増補

(表紙)
2004年8月1日(日)14:00開演 13:30開場
●主催 水口町教育委員会 碧水ホール 
●企画制作 野村誠、碧水ホール
●協賛 

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 本日は、コンサート「音楽ノ未来・野村誠の世界」にお越し下さいましてありがとうござ います。

 このコンサートは昨年の「音楽ノ未来・野村誠の世界」につづいて2度目です。
 昨年は「踊れ!ベートーヴェン」の久しぶりの演奏や、野村誠さんのピアノによる「たまごをもって家出する」が鮮やかな印象を残しています。
 「今年もこの季節がやってきましたね。」と出演者の誰かが声をかけてくれました。そして、野村さん自身が「野村誠作品個展」と呼ぶように、野村作品を聴く貴重な機会に、今年の夏も巡り会うことができました。
 クラシック音楽の現代音楽(なんだか変な表現ですけど)というジャンルを聴く機会はそう多くありません。その楽しみの一つは、作った人が生きている(場合によっては、その会場に居たりする)ことです。この作品を作った人に意味を尋ねたり、注文をつけたりすることもできる。ベートーヴェンやモーツァルトの生きていた時代に、それらを聴いていた人たちは、きっと、注文をつけたりしたのだと思います。
ベートーヴェンやモーツァルトにむかって!
 現代音楽は作曲家も、聴衆も、まさに、今、生きている人のための音楽なのです。  

 そして、ワークショップ。昨年は「スケ子ッ!!!」という、壮大な楽曲が生まれました。ワークショップに参加した人たちの活動から、野村誠によって紡ぎだされた音楽....、カオスを生み出し、そこから清明な..という印象の音楽に仕上がりました。
 今年のワークショップは野村チームの音楽による自己紹介からはじまって、沢山の演奏やデモンストレーションが含まれました。その軽やかなワークショップの中から生まれた言葉「ガムランでミュージカル」...だそうで、それは、とりあえずのスタート、どこまで遠くへ、どんな高みへ行くのでしょう。

 で、そういう音楽を、東京やニューヨークやパリではなく、この地域に出かけてきて、実際にやってもらうことが出来たのは、いくつかの条件がそろったからです。このホールがガムランセットを持っていること。(ロンドンのロイヤルフェスティバルホールはガムランセットを持っているそうです。)それを演奏する人たちが居ること。(マルガサリの中川真さんのジャワガムランの活動は30年を越えて新鮮です。)「音楽ノ未来」を考え、行動している人たちがいること。(たとえば、今回の出演者の一人植田浩徳さんは、関西で印象的な現代音楽のコンサートを多く企画しています。)
 その条件の中でも一番重要なもの、それは「聴衆」です。ここには、野村さんの音楽を楽しみにし、心待ちにしている聴衆が集まっているということ。
 どうぞ、本日もゆっくり「野村誠の世界」と「クラシックの現代音楽」をお楽しみください。
 聴衆の皆さん、そして、野村さんに、今年もありがとう。

  中村道男:碧水ホール館長
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 昨年の「音楽ノ未来・野村誠の世界」が好評だったので、今年も第2回を開催するこ とができました。
 「音楽ノ未来」というタイトルをつけていただきました。ぼくの作っている音楽は現在の音楽ですが、確かに未来に生き続けるだろうと思って作っています。

 実際、本日演奏する「はないちもんめ」は15年前に行った最初の共同作曲の試みですが、15年後になって振り返ってみると、そこには、その後の未来を予見するものがいっぱい含まれていたな、と改めて思います。
また、「ごんべえさん」は6年前の作品ですが、ワークショップ的な内容と五線譜に書かれた音楽を融合した最初の作品で、これも現在の大きなテーマの一つとして生き続けています。
 「桃太郎」はガムラングループのマルガサリとワークショップ形式で(口頭でやりとりしながら)作っている「楽譜に書かれていない」作品です。
 また、口頭でのやりとりを手紙形式の楽譜にしたのが、「自閉症者の即興音楽」です。かつてオーケストラの作品を五線譜のスコアに書いた時、どうしても微妙なニュアンスや不確定な表現について、書きにくいな、と思い、そちらに重点を置いて書こうと思ったのがきっかけです。この後「つみき」という17絃箏のデュオなど、お手紙風のスタイルの作品はさらに展開中です。
 今年になって始めたばかりの「動物との音楽」シリーズは、10年プロジェクトとしてやっていくつもりです。その一番最初の原点のプロジェクト「カモ、ブタ」を十分にお楽しみ下さい。

 こんな感じで、野村誠の作品世界が未来へ向かっているのなら、今日の演目の中で一番の未来は、ワークショップによる新作でしょう。これは、本番当日に世界初演、初めて完成した形で演奏されます。1歳〜50代までの様々な人が参加しながら、複数の頭脳で考えたイメージを、野村誠が紡いでいったものです。ここでどんな未来が予見されているのか、どんな展開が待っているのか、このコンサートの後、じっくり振り返ってみたいと思っています。

 本日の出演者、スタッフ、観客の皆さん。今日、この場にいてくれて、この場を盛り上げることに貢献してくれて有難うございます。そして、野村誠の今後に、ますます期待して下さい。ぼくは、皆さんの期待をひっくり返して、ゴチャ混ぜにして、裏切って、応えていこうと思います。
 そして、同時代に生きるすべての人へ。
 未来を作っていきましょう。
 こういうことを恥ずかし気もなく言っていいことは、ぼくが実証しましたから!
 では、本日の野村誠の世界を存分にお楽しみ下さい。

2004年8月1日 野村誠  
3

●プログラム



 映像 カモとの音楽・ブタとの音楽(2004)


 ごんべえさん(1998/2004)
 はないちもんめ(1989/2004)
 Fresh Air With Air-conditioning(2003)
 自閉症者の即興音楽(2002/2004)


 映像 Shogi Composition in the Grundy Art Gallery, Goya's Room(2004)



  休 憩



桃太郎組曲(2001〜)            
 〜柴刈り 〜山寺に響く音、コッシンハナ 〜 桃の精 〜どんぶらこっこ〜桃太郎誕生 〜 お田植え神事〜願い候〜たまご〜牛 〜 タナンパディ(田植え)〜カエルがなく 〜セミがなく 〜 ポトンパディ(稲刈り) 〜盆踊り 〜鬼のテーマ 〜終曲




ワークショップによる新曲 だいんだいん(2004)

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曲目解説 野村誠


1 カモとの音楽・ブタとの音楽(2004) 日本初演  
 野村幸弘との映像作品。Ikon Gallery(バーミンガム)の委嘱。2004年5月に 同ギャラリーでのIkon Performance Weekendで初演。
 「カモとの音楽」は、岐阜大学 構内で撮影。「ブタとの音楽」は、岐阜市内の畜産センターで撮影。  同様のシリーズで、イギリスで撮影した「ウマとの音楽」、「動物園の音楽」(カ ンガルーほか)がある。
 カモは演奏者からある一定距離より近づくと逃げて行くが、興味があるようで、少 し離れたところから傍観していた。また、別のカモの一団は、音に誘われるように寄っ てきた。
 ブタは予想以上に音楽に興味があるようで、明らかに聞いているような表情を見せ た。

2 ごんべえさん(1998/2004) 関西初演
   1998年アサヒビール株式会社の委嘱で作曲。アサヒビール・ロビーコンサート 50回記念として作曲された。初演時の編成は、尺八、箏、ピアノ、鍵盤ハーモニカ、 打楽器ほか。
 今回の改訂版は、初演時の要素を多分に残しながら、演奏する度に演奏 者が自分なりのエピソードを語るようなバージョンとして再構成した。

3 はないちもんめ(1989/2004)
 これは、初めての共同作曲作品。当時、大学生だった野村は、友人の芦津直人、脇 坂明史、Steve Hornと一緒に即興演奏のリハーサルをしていた。相談し合っているう ちに、「はないちもんめ」のルールを音楽的に模倣する音楽ゲームを思いついた。8 9年に初演、96年に再演した後は、この曲が音になることはなかったが、今年6月 にHuddersfieldとChesterfield(いずれもイギリス)でのワークショップで試みたと ころ好評で、しかも若干ルールを改訂することができた。演奏者は舞台上で作曲をし、 そのプロセス自体がパフォーマンスになっている。最初バラバラに聞こえるフレーズ の断片が徐々に一つのフレーズに収斂していくプロセスが面白い。

4 Fresh Air With Air-conditioning(2003) 日本初演
 Groningen Jazz Festival(オランダ)で初演。アムステルダムのホテルで(時差 ぼけで)早く目覚めてしまった早朝に作曲。初演してくれたヴァイオリン奏者 のMonica Germinoとの会話の中で 「アメリカでは、エアコンをかけながら、窓を開けて走る車があるの。エアコンと 外の新鮮な空気の両方を楽しんでいるんだというつもりなんだろうけど。」 という下りがあったので、早朝の暇な時に思わず作曲。

5 自閉症者の即興音楽(2002/2004)
 2002年にアサヒビール株式会社の委嘱で作曲。片岡祐介さんが知的障害者施設 で行っている音楽療法的な即興セッションの様子からインスピレーションを得て作曲。

6 Shogi Composition in the Grundy Art Gallery, Goya's Room(2004) 世 界初演
 イギリスの海辺の町Blackpoolで、ティーンエイジャーたちと繰り広げた作曲ワー クショップのドキュメント映像。映像は野村幸弘。

休憩15分程度

7 桃太郎組曲(2001〜)
 〜柴刈り 〜山寺に響く音、コッシンハナ 〜桃の精 〜どんぶらこっこ〜桃太郎誕生 〜お田植え神事〜願い候〜たまご〜牛 〜タナンパディ(田植え)〜カエルがなく 〜セミがなく 〜ポトンパディ(稲刈り) 〜盆踊り 〜鬼のテーマ 〜終曲

 ガムラン・グループのマルガサリとの5年間に渡るプロジェクト楽舞劇「桃太郎」 を継続している。第1場は、楽曲を中心に構成される「桃太郎の誕生まで」、第2場 は、楽器をあまり使わず身体パフォーマンスをテーマに取り組んだ「桃太郎が鬼退治 を決意するまで」、第3場はワルツ、ロック、ヒップホップ、演歌など様々なスタイ ルの音楽を盛り込みながらセリフを中にでコミカルに展開する「イヌ、サル、キジと 出会い鬼が島につくまで」、そして現在創作中の第4場では、即興的な表現を追求し た中から生まれる表現に主眼を置いていて、来年創作の第5場では、歌を中心に締め くくる予定。本日の演奏では、芝居の要素を抜きにして、第1場・第2場より音楽的 な楽曲のみを抜粋。大雑把に以下の流れになっている。

8 新曲(2004)だいんだいん 世界初演
 ワークショップによる新曲。ワークショップ日記参照。

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●出 演


野村 誠


片岡祐介

片岡由紀

林 加奈



柏木 陽


映像制作    
野村幸弘


MU楽団    
阪中美幸

福前裕子

多井智紀

永澤 学

植田浩徳



ジャワガムランアンサンブル
マルガ・サリ

中川 真  シスワディ ローフィット

 家高 洋 田淵ひかり 西田有里 羽田美葉

佐々木宏美 河原美佳 西岡美緒 西真奈美 

原田満智子 松宮 浩




ワークショップ参加に参加した皆さん

飯山尚美 市居みか 太田垣幹代 太田垣晴望 北岡七夏 北岡晴道
 北岡朋丈 坂本準子 坂本 萌 坂本 絢 坂本夕妃 
清水洋子 清水恒司 野崎亜記子 蓮見豊正 畑佐好見 畑佐小晴 
正木恵子 向久保恵美 向久保拓巳
村木幹也 村木基起 山本雅史



ジャワガムランセット    

ティルト・クンチョノ


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●プロフィール

野村誠 1968年名古屋生まれ。8歳の頃、自発的に作曲を始める。CDブック「路上日記」 (ペヨトル工房)、CDに「Intermezzo」(エアプレーンレーベル)、「せみ」(Steinhand)など。作曲作品に、「だるまさん作曲中」(2001:ピアノと管弦楽)、「つみき」(箏2重奏)など多数。
なかでも「踊れ!ベートーヴェン」、ピアニスト向井山朋子の委嘱による作品「たまごをもって家出する」は有名。
2003年、アサヒビール芸術賞、JCC ART AWARDS(96年)、NEW ARTISTS AUDITION 91(SONY MUSIC ENTERTAINMENT)グランプリ(91年)などを受賞。2003年にはGroningen Jazz Festival(オランダ)での演奏、Ikon Gallery (イギリス)での新作発表、山口情報芸術センター(山口)でのオーケストラコンサー トなどの活動の他、碧水ホールでも「音楽ノ未来・野村誠の世界」ワークショップとコンサート、ガムラン楽舞劇「桃太郎」(マルガサリと共作)を上演した。

片岡由紀  音楽療法・音楽家 幼少よりたいこやピアノをおもちゃにして育ち、その後音大受験とは無縁のピアノレッスンを受ける。三重大学人文学部にて国際法を学んだあと、江原音楽療法専門学校にて音楽療法を学ぶ。在学中よりお年寄りや子どもたちとの音楽活動をはじめる。1997年から4年間、岐阜県音楽療法研究所に勤務する。現在フリーで、演奏活動と知的障害者施設などでの音楽療法活動を行っている。

片岡祐介 1969年生まれ。10歳くらいから即興演奏や作曲に興味を持ち、木琴やピアノのデタラメ演奏をおこない始めた。東京音楽大学打楽器科に入学するが、音大での音楽に違和感をおぼえ、中退。その後、商業音楽、現代音楽などの分野で、打楽器奏者として活動。97年より3年間、岐阜県音楽療法研究所で、音楽を担当する研究員として勤務。障害者と音楽をすることに夢中になる。 現在、フリーの音楽家。作曲作品に「月」(卓上木琴、鉄琴と鍵盤ハーモニカ)2001、「サボテン島」(マリンバとピアノ)1996等がある。

林 加奈 1973年東京生まれ。音楽家/画家 こどもの頃から歌が大好きだったが、家族から「あなた音痴ね」と言われ、歌は長く 中断。ようやく立ち直った後、東京芸術大学大学院(油画)修了。個展に「うにこの お葬式」、「平安のハナナガ」(ギャラリーはたなか・大阪)など。 1998年に鍵盤ハーモニカオーケストラ「P-ブロッ」のメンバーとなり、音楽家 としての活動も開始。鍵盤ハーモニカのほかに、様々なおもちゃを演奏する。 これまでに、釧路芸術館(釧路)、いずみホール(大阪)、山口情報芸術センター (山口)、Hayward Gallery(イギリス)などで演奏している。 ワークショップに、「絵本カーニバル」(コルトンプラザ・千葉)、「AKIMAHEN」 (Maison Folie・フランス)など。 作曲作品に、「いかにしてカレー」「犬が行く」など。

柏木 陽  1970年東京生まれ。93年、演劇集団「NOISE」に参加し、演出家・劇作家の故・如月小春とともに活動を続け、ワークショップ指導の経験を積む。毎年夏に行われる兵庫県立こどもの館のワークショップでは、中高生との野外移動劇の創作のみならず、地域の教育関係者らを対象にした演劇指導者養成講座も行っている。また、毎年春に行われる世田谷パブリックシアターの「中学生のためのワークショップ演劇百貨店」では、脚本から、衣裳、小道具、舞台装置にいたるまで、中学生の発案による手作りの表現を模索している。俳優としての主な出演作品は、「A・R」など93年以降の劇団NOISEの各作品「ミュージカル・アニー」明治生命、99年、ルースター役、「3年B組金八先生」TBS、02年、遠山医師役。
現在NPO法人演劇百貨店代表。

マルガ・サリ インドネシア、ジャワ地方のガムランを源流とし、古典から現代ガムランをまでを演奏する1998年に誕生した新しいグループ。大阪府北部の山間にある寒天工場を改装した「スペース天」を本拠地として活動している。野村誠をはじめ、多くの作曲家がマルガ・サリのために新作を寄せるなどその活動に期待も大きい。インドネシア国立芸術大学と提携し、頻繁に交流を行っているほか、地元、豊能町牧子供会とのセッションなどの活動も興味深い。メンバーは20名。代表中川真(大阪市立大学教授)、音楽顧問シスワディ(インドネシア国立芸術大学)。専属舞踊家佐久間新、ウィヤンタリ。

MU楽団   関西の若い音楽家たちでつくられたミュージック・ユニット。クラシックを身近に提供しようと試みる。現代音楽作品の演奏も多い。
ヴァイオリン 阪中美幸 京都市立音楽高等学校卒業 京都市立芸術大学音楽学部卒業
クラリネット 福前裕子 滋賀県立石山高等学校音楽科卒業 京都市立芸術大学音楽学部在学中
チェロ 多井智紀 大阪府立夕陽丘高等学校音楽科卒業 東京藝術大学音楽学部在学中
パーカッション 永澤学 京都市立芸術大学音楽学部在学中
ピアノ 植田浩徳 兵庫県立西宮高等学校音楽科卒業 京都市立芸術大学音楽学部卒業 MU楽団主宰

ティルト・クンチョノ 碧水ホールの保有するジャワガムラン楽器群。2002年春、ジャワ、ソロ市郊外のサロヨ工房で制作された。
2002年7月には碧水ホールで同名のレジデント・グループがスタートした。企画・監修中川真、代表岩井義則。練習は毎週水曜日、碧水ホールで。ガムランの演奏を楽しみながら新しい音楽の地平を探る。2004年2月のはじめての演奏会では伝統曲の他、ルーハリソン「ヴァイオリンとチェロとガムランのための二重協奏曲」を演奏した。

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野村 誠 ・音楽、その一度きりの時と場を求めて
小沼純一(音楽文化論)

(1998年8月12日アサヒビール・ロビーコンサートプログラムより転載)

 アサヒビール・ロビーコンサートも50回を迎えます。
 今回は、ひとりの若い作曲家・ 野村誠に焦点を絞り、その、従来の枠に収まりきらない奔放な活動の一端をご紹介し つつ、更にこの50回記念の作品を初演をすることとなります。
  野村誠を、旧来のイメージで「作曲家」と捉えるのは、いささか座りがわるい。密室 にこもり、眉間にしわをよせながらこつこつと楽譜を書き、しかつめらしい顔で演奏 家に指図をする。あるいは、パソコンのディスプレイにむかって、「うちこみ」作業 に専念する。・・・・・・どちらも野村誠の作業からは遠いものです。作曲家は自分 のこれからつくろうと「作品」のイメージを抱き、それに近づけていこうとするのが ふつうですけれども、このひとほど「作品」のイメージを後回しにするひとは、滅多 に、いません。 どういうことでしょうか。 つまり、野村誠には、そうした自分の抱いている、来るべき作品の音についてのイメー ジよりも、大切にしたいものがあるからです。
 それは、そこにいる「ひと」であり、 そのひとたちがつくる「場」であり、作品は、その「ひと」や「場」をつくりだすメ ディア=媒体なのです。 すこしまわりくどくなるかもしれませんが、説明させてください。
 ラジオやテレビ、あるいはレコードといったものからながれてくるものに慣れてしま うと、音楽が音とそのつらなりだけで出来ているわけではないことを、ついつい忘れ てしまいます。すぐそばで音楽が奏でられているとき、ひとは、演奏家の仕種や呼吸、 目配せといったものから、一緒に観たり聴いたりしているほかのひと、そこで醸成さ れている空気や温度、ひいてはその場全体といったものを、知らず知らずのうちに 「音楽」として捉えています。ひとや空気ができるかぎり透明になり、音楽が直接的 に、可能なかぎり純粋に聴き手に伝わることこそが音楽の目指すところだという発想 もありますが、それはあくまで「西洋・近代」的な音楽観でしかありません。
 野村誠はこんなことを語ってくれたことがあります-
 「音楽って、その時と場所に現 われて、その時と場所が終わったら姿を消すもんじゃないですか。その時その場にい るというのはスゴイことでしょう。作品として固定してしまうと、その時と場所にい なくても、また今度体験できるという気がしてくる。でもその時その場所に行かない と絶対、その時その場所のことは見ることができない。再体験できない。曲はたとえ おなじでも、起こることはひとつとしておなじことはない。(・・・・・)せいぜい 音楽っていうのは音は半分ですよね。あとは視覚とか、いろいろなものが一緒にある。 音を軽視するわけじゃないけど、全体の半分だとして、あとの半分をなおざりにする ことはできない。」
音による構築物たる音楽を、あらためて音とそれ以外のひとや場が一緒になってある 「音楽」として捉えなおしてみること。それによって音楽のより豊かな在り方が浮か び上がってきます。消費財として日々聞きながされ、聞き捨てられていくのとはちがっ た在り方の音楽。そうしたものを野村誠は目指しているようです。
  また野村誠は、「みんな」でつくってゆくことにも重心のひとつをおいています。そ れも、音楽を職業としているひとではない、音楽は好きだけれどもシロウトであるよ うな、そんなひとたちと一緒に「作品」をつくっていくことに、積極的に関わってい きます。冗談や遊びでさえ、彼にかかっては「作品」にどんどん取り込まれてしまい ます。五線譜できっちりと固められたものではなく、もっと風通しのいい、ちょっと きっかけがあれば誰でもはいっていけるような「作品」。英語のPlayやフランス語 のJeuが、さらに古語の「あそび」が、「遊び/戯れ」とともに「演奏/音楽する」 といった意味を兼ね備えている、そうした本来的なありようが、野村誠の音楽には取 り戻されているように思えます。
(中略)
  じつはこの文章を書いている時点で、野村誠の新しい作品、「50回記念作品ーごん べえさん」をわたしはまだ耳にしていません。おおまかなコンセプトを聞いたにすぎ ないのです。みんなでひとつのものをつくってゆくプロセスがなかなかむずかしいも のであることも予想がつかないわけではありません。しかし、にもかかわらず、きっ と野村誠は、このコンサートでしか体験することのできない音楽を、ほかのところに もし持っていくならばそれはそれでまたかたちが変わってしまうような音楽を、かな らず提示してくれるだろう、そして今日、この時・この場所に居合わせたことを、み なさんが心身のどこかに記憶されるだろうことだけは、わたしは確信できているので す。
(1998年8月12日アサヒビール・ロビーコンサートプログラムより転載)

沼純一  音楽文化論。早稲田大学助教授。出光音楽賞受賞。著書に「サウンド・エシック ス」(平凡社)ほか。

【アサヒビールロビーコンサート】
「 アサヒビールが、メセナ活動(企業による文化支援活動)の一環として、1990 年よりスタートさせた、一般のお客様を無料でご招待する手作りコンサートで す。
 常にお客様の身近な企業であり、地域に開かれた企業でありたいという思い から、本部ビルのロビーを会場とし、地元の方々に気軽にお楽しみいただけるコ ンサートとして始めたことから、「ロビーコンサート」と名付けました。今で は、本部ビルのロビーのほか、各地の工場や営業拠点のある地域など、全国で開 催を行っています(開催総数160回以上)。会場は変わっても、名称は企画立案 当初のまま、ロビーコンサートとして一貫しています。
また、ロビーコンサートでは、様々な先駆的な音楽をご紹介すると同時に、お客 様も気軽に音楽に参加いただけるプログラムの展開にも積極的に取り組んでいま す。
 聴くだけでは終わらない、心からお楽しみいただき、お客様の心に残ってい くようなコンサートを目指しています。このコンサートをきっかけに、多くのお 客様に新しい音楽の魅力を感じていただければ、、と思って開催を続けていま す。
 ・・・というコンサート

8-9

野村誠 ワークショップ日記    野村誠 柏木陽

「ガムランでミュージカルみたいなのやっても様にならないよね、きっと。」
2004年7月 24日(土)
 いつもワークショップをする時、みんなで自由気ままに楽器を触るというような始 まり方が多いけど、今日は敢えて、各自に紙に何かを書いてもらって、そこから歌を 作る、という目標を持って始めてみた。
 自己紹介代わりに、野村誠+片岡祐介+片岡 由紀+林加奈の4人で即興演奏をする。即興しながら、ワークショップ参加者に言葉 を言ってもらう。「トロンボーン」、「セクハラ女」、「タコ」、「モカ」などなど、 次々に言葉が出た。
 続いて、この言葉を使って、各自に文章や絵を描いてもらった。「トロンボーン男 とセクハラ女の結婚式の話」、「キザな女の話」、「今はやってるのは、タコ餃子で すね。」とか、各自色んなアイディアが出る。
 その後、ガムランの楽器を自由に演奏する。子どもたちは大人よりも自由気ままで、 楽器をやったり、楽器以外のもので遊んだりする。もっち(4歳)が密かに椅子をバ タンと倒して遊んでいた。これは面白いと思い、椅子がバタンと倒れるのに合わせて、 みんなで楽器を演奏した。それが、トロンボーン男とセクハラ女の共演シーンになっ た。
 豊正さんは、娘さんからぼくの噂を聞いて参加したとのこと。娘さんが、京都女子 大でぼくの授業を受けていたらしく、 「コップを演奏する先生」 というのに興味を示し、コップ持参で登場。コップの音が意外にガムランに合う。
 休憩中の雑談で、
 「ガムランでミュージカルみたいなのやっても様にならないよね、きっと。」 という話になったので、敢えて様にならないことをやってみることにした。ワークショ ップ初日なので、まだまだ遊んでいられる余裕あり。
 「MR.モカ」、「キザな女」、「タコ」の3チームに分かれて歌作り。
 「モカ」は ノリノリで踊りながら歌う歌を作った。
 「キザな女」は、演技に照れながら相談して いたら、タクミ(5歳)がリーダーになって、どんどん仕切り始めた。
 「タコ」は黙々 と歌とメロディーを作り練習。
 その頃、幼児グループは楽器で家を作り、「いらっしゃいませ。」 とか、ごっこ遊びを始めていた。楽器が家になったり、平台がバスになったり、桴が アイスクリームになったり、ホールの備品が色んなものに変身する。
 最後は発表し合って、残り時間で「タコ」の歌をみんなで練習した。

  あたしは緑のタコよ〜 ああファッションモデル それは、夢、決してかなわぬ〜

25日(日) 
 リクエストがあったので、最初に鍵盤ハーモニカの演奏をした。
 野村誠作曲「Fと I」の演奏が始まると、タクミはスキャットのような声で演奏に加わってきた。途中 からは、踊り始め、クルクル回転。演奏者も一緒になって回転して終わった。
 今日の前半の目玉は、「なんちゃってワークショップ」。自分の独自性、オリジナ リティが売りの野村誠が、人の物真似をやってみよう、という反則技だ。1時間で1 0分ずつ6人のワークショップを真似してみるというチャレンジをした。
 まず、1番目にやったのが、ヒュー・ナンキベル(イギリス人の作曲家)のワーク ショップの物真似。自己紹介ゲームから始めて、カラダでリズムを出す「スイッチ」 というゲームをやり、そのまま「楽器でスイッチ」をやってみた。
 2番目には片岡祐介さんに、クライブ・ロビンズ(アメリカ人の音楽療法家)の真 似をしてもらった。「レッツドラム、ドン!」とか、普段の片岡さんが全然しないア プローチで面白い。
 3番目には、ぼくが池田邦太郎さん(東京の小学校の先生)の真似をした。
 「自分が楽しいと感じれば、その音は君にとって音楽なんだよ。」 と説明し、
 「じゃあ、みんなで自分が楽しいと思う音を見つけてみよう!」 と言って、ホール全体で音探し。池田さんの物真似なので、池田さん流に、
 「いいね、いいね。」 を連発すると、みんなの反応が池田さんのクラスに似てくるので、不思議だ。
 4番目に、片岡祐介さんに、有賀誠門さん(元東京芸大打楽器科教授)の物真似を してもらった。
 「楽器から離れて!君たち、楽器を触るのはまだ早い。」 と言って、全員で一発きめる動作の練習。しかし、なんちゃって有賀先生は厳しい。
 「違うっ!そうじゃなくって!」 本来なら怖いはずなのに、みんな大爆笑。タクミは転がり回って笑った。
 5番目に、林加奈+野村誠で柏木陽さん(俳優)の物真似。柏木くんを知っている 人が多いだけに、やりづらい。ゲームをやるが、柏木流のツッコミを真似るのが難し い。
 6番目に、片岡祐介さんが鈴木キヨシさん(パーカッショニスト)の真似。
 「リズムはカラダ動かせば自然に合ってくるから。」 みんなでニセキヨシに合わせて演奏。リズムがいいと子どもたちが踊り出す。
 休憩後、「トロンボーン男」のシーンを実際に、トロンボーンとガムランで演奏。 また、豊生さんが能管を持って来てくれたので、能管とガムランと合うか試してみる。 そのうち、管楽器とガムランのセッションになり、モエちゃん(小5)がトランペッ トを吹き、ぼくが鍵ハモを吹いて、ガムランと即興セッション。怪しい雰囲気になっ ていく。
 次に、空手の動きに合わせてガムランを演奏。空手コーナーと鈴木キヨシコーナー を交互にやってみる。これをキッカケに、即興が続き、その中に「タコ踊り講座」や 「にわとり物真似」、「メリーさんの羊」、「おやすみなさい」など様々なシーンや 小ネタが登場。
 再度、休憩。休憩中にロビーで片岡+野村による「なんちゃって音楽」ライブが自 然に始まり、盛り上がる。  最後に、しょうぎ作曲の「ちんどん人生」を野村誠、片岡祐介、片岡由紀、林加奈 で演奏。すると、子どもたちがステージ上ってきて、玩具楽器を演奏。かなりのめり 込む。これで、本日のワークショップは終了。
 しかし、解散後も子どもたちは演奏に没頭。ハル(3歳)とタクミ(5歳)が桴を マイクに見立てて、即興漫才ショーみたいなのを始める。ぼくもピアノで即興を開始。みんなドンドン演奏に没入。20分以上、即興は続い た。紙鉄砲でパチンというのが、流行。  
ワークショップ日記 2004.7.28
(この部分、柏木陽)
 本日より私かしわぎも混ざってのワークショップ。勇んで家を出た、までは良かったが車にパンクは発見されるは、なんだかず〜っと渋滞だわ、すぐ前を走っているおじさんの車は法定速度以下だわで、少し遅れて碧水ホール到着。
 すでにお子さんは全力で走っているホール内。お久しぶりの人も初めましての人もいる中でスタート。もう野村さんと林さんがゲストコーナー(物まねで行う。私はいたこワークショップと呼ぶことにした)で私を登場させていたので皆さん興味津々。私と同じTシャツを着た方がいてなんだか気恥ずかしい。
 軽く体を動かしてもらおうと二人組でできるエクササイズを始める。「催眠術」や「鏡になる」など文字にすると怪しいものばかりなのだがやってる姿もかなり怪しい。音楽と違ってなぜ演劇のエクササイズはこうも怪しいのだろうか?
 それはおいておいて二人で協力して行うエクササイズをばりばりやっていく。50分ぐらいやったところで休憩。
 ちょっと長めの休憩の間私に襲ってくるプレッシャー。そう私も「いたこ」ワークショップをやらなければならない。
 昨日説明はされていたし、ビデオも見ていたのでどんなことをしてほしいかはおぼろげながらわかっているつもりだったのだが、どうも何ともうまく考えられない。というのも、私が人のやってることや雰囲気などパクリまくっているので、いざ真似てみると自分と大して代わり映えがしないのだ。あの人は?この人は?と提案もされ自分でも考えてみるのだがどうもうまくいかない。崖っぷちな気分のまま後半スタート。
 そこでやってくる野村さん。(ちなみに今日はかしわぎ&林さんの二人でお送りする時間になってました。)「これからゲストコーナーです」の声にがぜん張り切る。沈み込む私。少々やけな気分で知り合いを二人ほど引っ張り出してくるがどっちも私に似ている。あぁ…無理よ、私には無理なのよ、アドリブべたなのよ、機転が利かないのよ、演技がへたなのよ!!と自虐的な気持ちのまま三人目は思い切って全然違う発想をする人をやってみる。少しは違いが出たかもしれない。まだまだ遊べてない。反省モードに切り替わりそうになる私。三人目を何とかやって野村さんに時間を渡す。ここからは音楽。明日は海外からもいたこしてやろうと心に刻むかしわぎであった。
7月29日(金)
 18:00〜21:00
 昨日、今日と片岡祐介さんと片岡由紀さんが欠席。そこで、
 「今日の目標は、曲を完成させて、明日片岡さんが入る余地がないようにすること です。」 と目標を発表。すると、たくみが
 「キャハハハハハハハ」 と笑い出したので、その笑いを真似するところから作曲が開始。
 「アロハー」と踊り 出すと、もっちゃんが
 「アロハって何じゃい?」 とツッコミ。
 それらも曲に取り入れられていく。加奈ちゃんと子どもたちの作曲する パートは終始パフォーマンス系。座布団を積み上げたり、紙飛行機を飛ばしたり、動 物に変身したり、、。最後の最後で、楽器を演奏。柏木チームは、最後に「もう、疲 れました」と言って倒れ込む。約1時間の作曲は無事終了。
 休憩時間は、とうもろこしやお芋やドーナツを食べながら、くつろぎタイム。ドラ ムセットの搬入に、子どもたち喜び叩き始める。気がつくと、中村館長もドラム演奏。 山本さんも演奏。みんな楽しむ。
 休憩後は、柏木君がロンドンで見たロバート・ウィルソンのオペラがどんなだった かを、説明してもらうことにした。メンバー全員で演じられるようにお願いした。本 物とは多分似ても似つかぬ「なんちゃってロバート・ウィルソン」ができあがる。今 日作った曲を通してみると、中村館長が、
 「最後は、なんちゃってロバート・ウィルソンで決まりですね。」 と言うので、柏木チームが倒れ込んだ状態で試してみる。
 「これ、気持ちいい」 と寝転がっている人。そこで、お客さんにも寝転がってもらったらいいかな、という ことになった。
 たくみが  「グループやりたい。」 というが、時間がないので、キザな女の歌を練習。最後に残り5分で「なんちゃって 舞踏」で楽器を演奏する、というのを試みて、終了。これに、明日、片岡さんがどの ように応じるのか?楽しみになってきた。
 さて、いかに?

30日
 さて、片岡さんが登場。どのように加わるか楽しみ。ひとまず、今まである素材を ホワイトボードに書き出してみる。
 なんちゃって舞踏ガムラン、なんちゃってRobert Wilson、Mr.モカ、緑のタコ、キ ザな女、トロンボーン男、キャハハハハ、Analog Beat Communication(ABC)、ゆりちゃ ん。
 これを試しに並び換えてみる。
 タコ、舞踏、ABC(ゆりちゃん、キザ、トロンボーン、モカ)、キャハハハ、ウィ ルソン。
 「では、今から、これで最初から最後まで通します。」 強引な通し稽古。片岡さんや正木さんは、戸惑いながら演奏に加わる。全体で20分 くらいの曲になっている。
 その後、タコの歌の歌詞を確認し、何度も練習。続いて、ABCの部分をもう少し発 展させようと考え、片岡さんにフレーズを考えてもらう。しかし、片岡さんは、
 「このままで十分いいんだよなぁ。」 と言って、うまく発展させることができない。
 たくみがキャハハハハと言い出したの で、その後はキャハハハ以降の部分を細かくチェックした。
 たくみが
 「今日はグループやらないの?」 と要求してきたので、休憩後はグループ別に歌を練習してもらい、全員に教えたり指 示できるような相談もしてもらった。タコの踊りができたし、キザもアレンジが進ん だ。
 モカを練習している途中で、もっちゃんとハル君が頭ごっちんしてしまい、もっ ちゃんが泣き出す。ハル君は、もっちゃんが泣いていることに申し訳なくなり、泣き 出した。
 だから、練習はここで終了。
 今日は結局、片岡さんがあまり入る余地がなく、最後まであまり活躍せずに終わっ た。片岡さんがどのように乱入し、変化させてくれるかが今日のカギだったので、そ の作業は翌日に持ち越されることになってしまった。
 明日は、相当頑張らなくてはい けないなぁ〜。




10-13
野村誠年表/増補 野村誠
 ここまでの「野村誠年表」は2003年の「音楽ノ未来・野村誠の世界」プログラムをご覧ください。 <ここからどうぞ>


2003(続き)
Collection Lambert, Avignon(フランス)の招きでアヴィニョンに滞在、アヴィニョ ンの音楽院、美術学校、高校などでワークショップを行い、楽しんできた。
2台ピアノのための「パニック青二才」を作曲。大井浩明、鈴木貴之により初演。音 符がいっぱいで、真っ黒黒の譜面が30ページほど続く曲で、演奏者に苦労を強いて しまった。


2004
2004年 山口情報芸術センターで「しょうぎ交響曲の誕生」。しょうぎ交響曲第1番「ちんど ん人生」、第2番「どこ行くの」、第3番「開館」の3曲を初演。司会、ピアノ演奏、 玩具楽器や鍵盤ハーモニカの演奏、オーケストラの指揮と一人で何役もこなしたが気 分の切り換えが大変。しかし、コンサートは大成功。
 えずこホール(宮城県大河原町)でホエールトーン・オペラ第1幕初演(Hugh Nankivellとの共同プロジェクト)。 リコーダー、笙、オルガンのための「どちらにしようかな」を作曲。愛知県芸術文化 センターで鈴木俊哉、宮田まゆみ、新山恵理により初演。パイプオルガンの様々な音 色を触らせてもらうのは、とっても楽しかった。
  グループ展「サウンドマインナゴヤ」に参加。久しぶりに名古屋に長期滞在をした。 アコーディオンソロのための「ロシアンたんぽぽ」を作曲。御喜美江により初演。 「自閉症者の即興音楽」をMU楽団のために改訂。改訂版が初演される。  
 
 Collection Lambertの招待で再びアヴィニョンに。また、ワークショップを色々やる。 京都女子大学児童学科の講師を退職。女子大生から寄せ書きをもらったり、歌を作っ てプレゼントされたりして、キュンとする。
  フランス、リールでの現代美術展「Akimahen」に参加。P−ブロッとしての初の海外 公演。ワゼムのアコーディオンフェスティバルにも出演。P−ブロッメンバーに加え て、大田智美(アコーディオン)、本間直樹(ヴィオラ)、Thiery Montagne(アコー ディオン)も共演。
  Ikon Gallery(バーミンガム)で、パフォーマンス。動物が来る音楽会、難民協会の メンバーとの「しょうぎ作曲」、Helena Gough(作曲家)との「しょうぎ作曲」、中 学生との「しょうぎ作曲」などを演奏。 The Grundy Art Gallery(ブラックプール)で、ティーンエイジャーのオーケストラ のメンバーと3日間のワークショップ。また、動物園でのロケ。老人ホームでの歌作 り。ジプシーの家族とアコーディオン即興セッションなど。
  Lawrence Batley Theatre(ハダスフィールド)で、ホエールトーン・オペラ第2幕 を上演。
  Lindley Schoolでワークショップをした他、プロの音楽家のためのワークショップ& レクチャー、養護学校でのワークショップ、コミュニティグループのためのワークショ ップなど、ハダスフィールド近郊で連日働く。 ロンドンの国際交流基金でレクチャー&ワークショップ。 エイブルアート・オンステージの実行委員をすることになる。今のところ何をするの か未定。









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e-mail hekisuih@town.minakuchi.shiga.jp
〒528-0005 滋賀県甲賀郡水口町水口5671 碧水ホール
JR草津線貴生川駅から近江鉄道で一駅、水口城南すぐ
ハートバスは『水口町役場前』または『文芸会館前』


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