−ステロイド薬を恐がる前に−

要は使い方次第です
 ステロイド薬とは?

 腎臓の上にちょこんと乗っている副腎はホルモンを分泌する器官です。その外側部分の副腎皮質からは炎症やアレルギーを抑える働きをもつ副腎皮質ホルモンが出ています。  同じ成分を合成して、炎症を抑える力をより強くしたのが副腎皮質ホルモン薬ですが、その構造を含む化学物をステロイドと総称するためにステロイド薬とも呼ばれています。内服薬(飲み薬)、外用薬(塗り薬)、注射薬などがあります。
 なぜ恐怖症が生まれたか?

 ステロイド薬は火事を消す強力な消火器のように、赤みやかゆみなどの炎症をたちどころに抑えてしまいますが、病気そのもの、火事でいえば火種はまだのっこたままのこともあります。そのようなときに消火活動を急にやめれば火はまた燃えさかります。
 病気を悪くする因子は、例えば火に注がれる油のようなものです。それを取り除かずに消火活動ばかりに気を取られていると、いろいろな弊害、つまり副作用が出てくるのです。アトピー性皮膚炎でも、病気を悪化させる因子を見つけ出して取り除くのを怠り、漫然とステロイド外用薬を塗り続けると、赤ら顔や皮膚が薄っぺらになるなどの副作用が出てきます。そのとき、急に薬を中止すると「リバウンド現象」と呼ばれる皮膚症状の急激な悪化が起こることがあります。そのため「ステロイド薬は恐い」というレッテルが貼られてしまったのです。
 正しく使えばメリットが多い薬

 ステロイド薬を正しく使うための第一歩は、病気を悪くする因子を取り除く努力をすることです。そのうえでステロイド薬の効果に頼り切ることなく、必要なときに必要な強さのステロイド薬をきちんと使えば、決して「恐い薬」ではありません。治療は患者さんと医師の信頼関係からなる共同作業です。

【参照】日医ニュースNo.48 より  


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