もどる
Tirta Kencana 第6回定期演奏会プログラム 2009.6.7

テキスト ボックス: aテキスト ボックス: aテキスト ボックス: ティルト クンチョノテキスト ボックス: ジャワガムランアンサンブルの演奏を楽しむ市民グループ
Tirta Kencana
第6回定期演奏会





於:甲賀市水口 碧水ホール
日時:2009年6月7日(日)15時〜
アジア雑貨・喫茶などバザーもあります。
http://www.jungle.or.jp./sazanami/gamelan/




  1

ごあいさつ


 本日はようこそ、ティルトクンチョノ「第六回定期演奏会」にお運びを頂き、ありがとうございます。メンバー一同厚くお礼申し上げます。

 ジャワガムランを楽しむ市民グループとして「ティルトクンチョノ」が誕生して来月で丸7年になります。
 その間、自主演奏会を始め、昨年9月の八日市文芸会館主催の「ガムランピクニック」出演等のステージ経験、あるいは保育園、養護学校、児童館、公民館等の地域に向けての演奏会やワークショップ等、様々な経験をさせて頂きました。これも皆様方のご支援の賜物として偏に感謝申し上げる次第です。  わが国でも近年関心の高いガムランですが、われわれのグループの周囲におきましても、ガムランを鑑賞や実演奏として楽しむのを始め、情操教育や音楽療法として少しずつ理解を深めてきて頂いていることは誠に喜ばしいかぎりです。
 インドネシアの民族音楽「ガムラン」は語源「ガムル」(叩く、打つ・・ジャワ語)という動詞から連想されます通り打楽器中心のアンサンブルです。そしてその音楽性は自然界の営みをそのまま音楽した、例えば海岸の寄せて返す波のような、あるいは曲の構成が最初ゆっくりゆったりから始まり〜盛り上がりがあり〜最後ゴングの音と共にスッと消えることから、人間の一生を表している音楽とも言われています。
 さて、本日の演奏ですが、ジャワ伝統曲のほかに定演恒例となっていますところの現代の作曲家による「現代曲」工夫を凝らした「創作」も用意しておりますので、どうぞ最後までゆっくりご覧下さい。  最後になりましたが、本演奏会を開催するにあたり、甲賀市、甲賀市教育委員会、碧水ホール職員の皆様、企画監修を頂きました中川真先生、家高洋先生、賛助出演下さるローフィット・イブラヒムさん、松田仁美さん、並びにお手伝い下さる関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。

     ティルトクンチョノ代表 岩井義則


プログラム

第1部 伝統曲・舞踊

1.トゥクン
Gendhing TUKUNG ktk. 4kr. mg.8 pl. br.

2.ウィルジュン
Ladrang WILUJENG sl.m./pl.br.

3.ティルトクンチョノ
Ladrang TIRTA KENCANA pl.nem.

4.舞踊 クロノ・アルス スリ・スウェロ
    演奏される曲は スミャル
Klana Alus Sri Suwela
Lagon Jugag Pl.br.〜Ladrang SUMYAR Pl. br.
〜Lagon Jugag Pl.br.

 休憩


第2部 現代曲と創作

三輪眞弘 愛の賛歌・4ビットガムラン

 休憩

影絵芝居 りこうなシカ
 インドネシアの民話から創作曲、朗読と影絵
オープニング(鹿のテーマ)〜トラ、子ども〜老人〜若者、
わにのテーマ、かたつむりと競争、エンディング 

   構成・影絵製作
 坂本準子
   監修 中川 真


  2

出 演

ジャワガムランアンサンブル
ティルトクンチョノ

 岩井義則  坂本準子  伊藤久子
 田中あゆみ 小松道子  小梶喜憲
 日比 誠   石原弘之  中村道男
 山本ちひろ 綿岡靖志  宮本裕子
 小西省吾  前田若菜  松永有沙美

中川 真 
家高 洋 
ローフィット・イブラヒム
松田仁美

ジャワ舞踊  小松道子

声 楽  竹内美佳

影 絵  坂本準子
 伊藤久子  前田若菜
 朗読 石原弘之





舞踊指導 佐久間新 ウィヤンタリ
舞踏指導・振付 北村成美 

協 力 甲賀市碧水ホール 
     Candra(アジア雑貨)
     テンペカフェ
    

企画・監修 中川真

主 催 ティルト クンチョノ

                プロフィール
ティルトクンチョノ(ジャワガムランアンサンブル)
 「ティルト」は「水」、「クンチョノ」は「金のきらめき」、日本の中央に位置する我が国最大の湖、琵琶湖のさざ波のイメージをジャワに伝えて命名された。マルガサリ中川真氏の監修、指導のもとに伝統的なジャワガムランを学ぶ市民活動。
 ガムランによる現代音楽や創作の可能性にも注目し、ガムランを利用したアーツ体験の「パッケージ・プログラム」の開発や、ガムランから生まれる多様なアーツ体験を、より多くの人に直接的、効果的に伝え得るような「しくみ」をつくりたいと願っている。
 これらの計画は甲賀市碧水ホールが,2001年秋にマルガサリ、野村誠さんらによるコンサートを開催し、2002年春にガムランを保有したことに始まる。
 名誉顧問にスニョト(インドネシア国立芸術大学)。
 このガムランセットは、2001年夏から2002年春にかけて、インドネシア、ソロ市郊外のサロヨ工房で、サプトノさんの設計監修により製作されたもの。スレンドロ、ペロッグの両音階が演奏可能で、王宮風の装飾が施されてる。2005年秋にはサロヨさんを迎えて楽器のチューニングを行った。
 定期的な練習は毎週水曜日夜、碧水ホールで。

中川 真(なかがわしん クンダン他・企画監修)
 サウンドスケープ、サウンドアート、東南アジアの民族音楽を主な研究領域とする音楽学者。京都音楽賞、小泉文夫音楽賞、サントリー学芸賞を受賞。大阪市立大学大学院教授。
 著書に『平安京音の宇宙』など。最近には高橋ヨーコ(写真家)とともに日常の「音」をテーマにした冒険小説「サワサワ」(2003求龍堂)、伝説のアートイヴェント〈現代のアートの森〉に登場したロルフ・ユリウスと鈴木昭男を軸にサウンドアートの真髄に迫る「サウンドアートのトポス―アートマネジメントの記録から」(2007昭和堂)などがある。
 大阪府豊野町を根拠地とするジャワガムラングループ「マルガサリ」を主宰し、2001年9月、碧水ホールでのコンサート「ガムランによって何が可能なのか」で、ガムラン楽舞劇「桃太郎第1場」(曲:野村誠)を初演、以来、碧水ホールでティルトクンチョノを育てるなどガムラン企画の監修に携わる。
 2008年8月、インドネシア(ジャカルタ、ジョグジャカルタ、スラバヤ)で、「桃太郎」(全5場)を上演する。

竹内美佳(声楽)
 石山高等学校音楽科卒業。大阪音楽大学 音楽学部 声楽学科修了。渡辺文子 、湯浅富士郎 、原孝子の各氏に師事。栗東市主催の 「音楽の森コンサート」 に出演。高槻にて 「トライアングル コンサート」 に出演。

ローフィット・イブラヒム(ROFIT IBRAHIM ルバブ他)
 1979年インドネシア、ジョグジャカルタ州スレマン生まれ。幼少の頃よりガムランと影絵芝居・ワヤンに魅かれ演奏を始める。インドネシア芸術大学パフォーミングアーツ学部伝統音楽学科卒業。ジョグジャカルタ・パクアラマン王宮の専属ガムラン演奏家としての活動を経て来日、2005年より京都府在住。 HIROMISASAKI (佐々木宏実) とともにガムランユニット「ハナジョス」を結成。 
ティルトクンチョノの個人レッスンを担当している。



  3

プログラムノート

トゥクン
Gendhing TUKUNG ktk. 4kr. mg.8 pl. br.
 この曲は、太鼓以外すべて青銅製の打楽器で奏される非常にシンプルな形式の曲です。青銅のみの響きが場を清浄にするといわれており、この形式の曲は、しばしばコンサートの最初に演奏されます。
曲は二つの部分からできています。曲が始まってすぐにテンポが落ち、ゆったりとした部分になります。しばらくしてから、テンポが上がり、また下がって、次の部分に移っていきます。前奏を受け持つボナンという楽器が曲をリードしていく様と、テンポの変化がこの曲の聴きどころです。
 「トゥクン」とは、ジャワ語で「雄鶏」を意味しています。「トゥクン」は全身が黒で、鶏冠辺りのみが赤の大きな種類の鶏で、鶏の中でも非常にどう猛な性格をしています。この曲の後半の部分のメロディーが、このトゥクンを表しているのかもしれません。

ウィルジュン
Ladrang WILUJENG sl.m.
 1曲目のトゥクンにはなかったルバブ(弦楽器)やグンデル(青銅製のヴィブラフォン)、ガンバン(木琴)、そして歌(女声独唱と男性斉唱)などが入り、美しく優美な雰囲気をかもし出しています。これがジャワ島中部地方の典型的なガムラン音楽で、バリ島のガムラン音楽とまったく違っています。 「ウィルジュン」というジャワ語は、インドネシア語の「スラマット(selamat)」という語に対応しますが、日本語にはないニュアンスの言葉です。「事柄が滞りなくうまくいく」というほどの意味で、結婚式などの儀式でしばしば演奏されます。
 今回はスレンドロとペロッグという二つの音階で演奏します。スレンドロ音階は、1オクターヴをほぼ均等に5音にわけた音階、ペロッグ音階は、1オクターヴを不均等に7音に分けた音階です。どこで変わったかは多分見た目からもわかります。

ティルト・クンチョノ
Ladrang TIRTA KENCANA pl.nem.
 ウィルジュンと同じ編成です。中ほどで太鼓がチブロンという中太鼓に変わり、賑やかになります。そして再びはじめの太鼓に戻り、穏やかな曲想になります。
「ティルト・クンチョノ」は、私たちのグループの名前でもあります。命名の際、1枚の楽譜が添えられていました。それ以来メンバーの技量にあわせて様々に演奏されています。
 また「ティルト・クンチョノ」は、ジャワでは「聖なる水」の名前でもあります。「ティルト・クンチョノ」をいただくと病気からの回復など様々な好事が生じるとされています。
(以上、家高洋)

舞踊 クロノ・アルス スリ・スウェロ
演奏される曲は スミャル
Klana Alus Sri Suwela
Lagone Jugag Pl.br.〜Ladrang SUMYAR Pl. br.〜Lagon Jugag Pl.br.
 クロノと呼ばれる一連の男性舞踊の名曲です。恋人に恋い焦がれる様子を描いていると言われていますが、僕にはしっくり来ません。クロノには、放浪、漂流という意味があります。目的もなしに、山を登ったり、下ったり。でも、きっと何かを探しているのでしょう。恋い焦がれる何かを。
 男性舞踊ですが、中性的な雰囲気を持つ舞踊です。かっちりと踊り込むジョグジャの舞踊にしては、振りから振りがメタモルフォーゼのように移り変わります。力強さの中に同居する優しさ。迷いなき自信の陰に潜む壊れやすい繊細さ。相反する関係の間に、探し求める答えはあるのでしょうか。 
   (佐久間新)

愛の賛歌・4ビットガムラン
 作曲者三輪眞弘さんのご寛容に感謝しつつ、それでもなお現代曲をアマチュアのグループが演奏するのは大変な冒険です。ガムランの伝統にしたがってなのか、楽曲は数字譜と口伝でした。すでに「ありえたかもしれない音楽」の、初演と、何度かの再演を見た私たちもまた、ぜひ、ダンスなどの身体表現とともに演奏したいと考えました。
「舞踏」の振り付け・・というよりは「仕組み」(インストラクション)は北村成美さんによるものです。ご多忙なスケジュールを割いてくださったのは、曲のもつ魅力からでしょうか。真摯なワークショップは我々の演奏や表現に対する姿勢にまで及ぶものでした。
歌い手として応じてくださった竹内さんも颯爽としていました。

りこうなシカ
 ガムランと影絵(ワヤンクリ)は切り離せないもの。それが、遠く離れた国で、こんな風に楽しめるのです。影絵に使用されるワヤンはグヌンガンをのぞいてメンバーの坂本準子が製作しました。歌詞や楽曲は皆で作ったものを素材に中川真が監修。随所にメンバーの個性や遊び心があふれています。
見ているよりも、やっているほうが楽しいということに、すでに皆さんはお気づきだと思います。ガムラン古典曲から始まって現代音楽にいたる、「有り難い音楽」の環境が碧水ホールにはあります。
 毎週水曜日の夜に碧水ホールで練習しています。どうぞご参加ください。
(以上 中村道男)

びわ湖ホールロビーコンサート


ジャワガムランがはこぶ、
異国の風


 6月は、甲賀市の壁水ホールを拠点に活動するジャワガムランのアンサンブル“ティルトクンチョノ”がやってきます!
 ガムランの音色とジャワ舞踊がはこぶ、異国の風を感じてください。



6月24日(水)

  13:00〜13:30
出演 ティルトクンチョノ


滋賀県立芸術劇場
  びわ湖ホール
メインロビー
入場無料(事前のお申し込みは必要ありません)
お問い合せ びわ湖ホール事業部 
電話 077−523−7150
主催:財団法人びわ湖ホール